協和病院 院長 穂積慧
昭和59年に開院以来、現在に至るまで協和病院の病床の構成も様変わりいたしました。当初は、精神科225床、内科37床の合計262床であった病床が開院2年後に精神科を33床増床し、精神科258床、内科37床の合計295床といたしました。当時は、多くの医療機関が増患、増収をめざした病院経営が行われていたように思われます。
時は昭和から平成に変わり、医療も量から質が求められる時代に変わっていきました。当院も将来を考慮し、高齢者医療の充実を図る為、平成4年に精神科病床77床を内科病床に転換し、精神科181床、内科114床の計295床の病床構成といたしました。これは、内科病床を療養型病床群(現在の療養病床)に移行させるのが大きな目的でしたが、これが後々大きな問題となって我々に降りかかってきました。それは当時の精神特例(厚生省令)の問題です。医療法の精神特例では、全病床の80%以上を精神病床が占める場合のみ医師数が患者48人に1人でよいという事でしたが、病床転換により80%を下回ってしまい、それまで医師数が必要数7名のところ、15名まで増やさなければならなくなりました。本来であれば、病床転換は不可能であった訳ですが、当時の県の行政は精神科であれば一律に精神特例の扱いをしており、国の指摘で初めて県も我々も気付いたようなそんな時代でした。我々も法に抵触したままにしておく訳にゆかず、かねてより計画のあった老人保健施設の開設の際に精神科病床を57床削減し、病床の施設転換を図り、全面的に解決する事を県と協議の上実施し、平成9年にこの問題が終息いたしました。精神特例は現在は廃止されましたが、医師不足は過去も現在も秋田県においては深刻な問題として考えられており、この精神特例問題に真剣に取り組んだ事で現在があると実感しており、医師の充足にあたりご協力いただいた秋田大学医学部精神科学教室(現神経運動器学講座精神科学分野)には改めて感謝する次第です。
現在では、医療を取り巻く法律も制度も著しく変わり、質の追求のみならず、高齢者の療養病床の介護施設への転換、慢性期の精神科の入院患者の地域移行等も国の方針として示されており、避けては通れない問題が差し迫って来ておりますが、患者さん本位の姿勢を忘れず、地域に信頼される病院運営を心掛けてゆきたいと考えています。 |